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なるようになるかも

力は多くの場合、その人の思いを超えない。

「よくわかる AutoLayout」読んだ。

よくわかるAuto Layout iOSレスポンシブデザインをマスター - リックテレコム書籍情報

前提

わたしはコード、VFL、Storyboard で制約を書きます。ライブラリは特に使いません。

なんで全部覚えたの?って疑問に思うかもしれません。わたしも最初はいずれかひとつだけ身に付ければいいと思っていましたが、いまはそれぞれが相互補完する関係にあると思っています。

  • コードによる制約は、初見では複雑ですが、慣れればそうでもないです。付与できる制約に制限がないのがメリットです。
  • View の位置関係を示す場合、VFL は非常に簡潔に記述できます。覚えておけばデバッグ時にも便利です。ただこれ一本だとできないこともあります。
  • Storyboard/InterfaceBuilder による制約の付与は、プレビュー機能など利点が多いです。ただし込み入ったレイアウトを実現するいくつかのハックを知っている必要があります。
  • 暗黙の制約(translatesAutoresizingMaskIntoConstraintstrue のままにする)も割と便利です。ドキュメントには autoresizing mask で指定した振る舞いを duplicate するとあるのですが、これの意味は未だに分からんです。

適材適所でうまく組み合わせるのが重要だと認識しています。

UPDATE: 暗黙の制約の仕様は Xcode7 と Xcode8 で別物になるらしい。いままで autoresizing mask ガン無視だったのが、ちゃんと反映されるようになるとか。まじかよ。

本の概要

iOS 開発を初期からやっている人はきっと必ず本棚にあるであろう、レジェンダリィな UIKit 本の著者が技術監修をしている、AutoLayout 攻略本です。

公式リファレンスもあります

developer.apple.com

そもそも AutoLayout 攻略本が必要なのか?公式ガイドで十分でないか?という疑問があると思います。

Apple の公式には日本語訳されたガイドがあるのです。しかし、「固有の寸法」「不定なレイアウト」「収縮性/膨張性の優先度」など、個人的にはピンと来ない感じの訳なので、初学者にはお勧めできません。

少し前に読んだ「SwiftではじめるUI設計&プログラミング」は、この辺の言い回しを、日本語として分かりやすく表現する苦労が感じられて良かったです(UI 設計の本というより、初級者向けレイアウトの作り方の本なのでそういうタイトルの方がよかったのでは?というのと、Swift1.X、iOS8 の本でなければ…という感じ)。

読書感想文

いわゆる、個人の感想ってやつです。

よかった点

硬派な内容

原色強めの表紙やタイトルから、なんとなく初級者向けなイメージを受けましたが、複雑なレイアウトを実現するためのパターン、実践的なハックも網羅されています。

ハマりがちな Self-Sizing Cells や UIScrollView への制約付与の仕方、さらに無限スクロールしたい UIScrollView への制約の付与の仕方も丁寧な解説があってとても参考になりました。

基本的なビューのデバッグ技法から、AutoLayout 固有の制約のデバッグ方法まで一通り書いてあるので、とりあえずこの本が片手にあればなんとかなりそうな気がします。

AutoLayout のレンダリングの裏側で起きていることを詳述している

ここはまだ自分も理解が追いついていない部分なのでまた読み返しますが…。

AutoLayout において viewWillLayoutSubviews:viewDidLayoutSubviews: は何なのか、とかそういう部分まで掘り下げて書いてある本は和書ではこれしかないと思います。

iOS9 の最新の知識を得られる

まだ iOS8 を切れなくてつらぽよですが、

  • UIStackView
  • UILayoutAnchor

について丁寧な解説があります。iOS10 ではこの辺に大きな仕様変更はなかったので、とりあえずしばらく使える知識なはずです。

よくなかった点

よくわからなくなくない?

基礎的な部分から始まりはしますが、ある程度 AutoLayout で苦しんだユーザーを想定しているような感じです。そういう人が開眼するには間違いなく良書だと言い切れます。

一方で、これから Swift を初めて、ちょっとした iOS アプリを作ってみよう…という人には敷居が高すぎる本だとも思います。

3章から UIWindowmakeKeyWindow()、ルートビューコントローラーみたいなトピックが入ってきますが、iOS7 から始めた人はたぶんこの辺のおまじないの話で辛くなってしまうような…。

トレイトコレクションを理解する上で、UIWindowUIScreenUIViewController がどういう関係にあるのか、という知識は必須なので、AutoLayout 自体がむずいってのが根本的な原因な気がしますけれど。

Width/Height Attribute に対する誤解

21ページにあるこの記述。

・Width、Height
Width、Height はそれぞれ、インターフェースオブジェクトの幅と高さを示します。この Attribute を用いる場合、この制約は1つのオブジェクトで完結するため、制約の SecondItem は nil になります。

これは根幹的な間違いだと思うのですけれど、わたしの誤読?

EqualWidth や EqualHeight の制約をコードで書くには SecondItem に同じ幅・高さにしたい View を指定します。

コードで作る制約は VFL と違って Multiplier を指定できるので、親 View とのパーセンテージでサイズ指定することをできます。個人的には、Adaptive なレイアウトを作るうえでは欠かせない知識だと思っています。

サイズクラスの話が本格的に出てくるのが遅め

レスポンシブデザインを語る上で、AutoLayout と SizeClass は不可分だと思うのですけれど、「サイズクラスとトレイトコレクション」は一番最後の章になっています。

名前そのものは、2章でも「Adaptive なレイアウトを構築する上で重要だ」として挙げられてはいます。

ですので、この本は AutoLayout にフォーカス絞り、そこから SizeClass まで話を膨らませないという組み立てにしたのかもしれません。

Android 7.0 では TextureView よりも SurfaceView が推奨されるらしい。

まじかよ!ってなったので。

たぶん、大半の人にとってはどうでもよいです。

公式リファレンスの Android N for Developers の英語版には以下の記述があります。(いまのところ日本語には訳されていないです)

Android 7.0 brings synchronous movement to the SurfaceView class, which provides better battery performance than TextureView in certain cases: When rendering video or 3D content, apps with scrolling and animated video position use less power with SurfaceView than with TextureView.

The SurfaceView class enables more battery-efficient compositing on screen, because it is composited in dedicated hardware, separately from app window content. As a result, it makes fewer intermediate copies than TextureView.

A SurfaceView object's content position is now updated synchronously with the containing app content. One result of this change is that simple translations or scales of a video playing in a SurfaceView no longer produce black bars alongside the view as it moves.

Starting with Android 7.0, we strongly recommend that you save power by using SurfaceView instead of TextureView

Android 7.0 のマルチウインドウ環境において、SurfaceView はハードウェア上でアプリケーションの Window と合成されるため、バッテリ効率が非常によくなっているのだそうです。

このため TextureView の代替として SurfaceView の使用が強く推奨されるとか。

SurfaceView って何?

Android 2.X の古代において、普通の View を描画するよりも高速だったものです。

原理としては、別スレッドでバックバッファの描画を行い、通常の View 階層ではなく独自の Window に描画を行います。

Android 3.0 でハードウェアレンダリングが一般の View でも使われるようになり、4.0 でデフォルト化すると、ソフトウェアレンダリングを行う SurfaceView は通常の View より低速になったと言われてます[要出典]

OpenGL で描画を行える、GLSurfaceView もありましたが、ほぼ OpenGL ES 1.0 なので、奇特な人しか使ってないと思ってます。RSSurfaceView のことは、忘れてあげてください。

TextureView って何?

Android 4.0 で鳴り物入りで登場したものの、いまいち流行らなかったやつです。

SurfaceView と似たようなインターフェースを備え、Canvas の簡単な APIOpenGL ES の高速描画を享受でき、それだけでなく通常の View 階層に組み込んで使え、アフィン変換やアルファブレンドも行える!などなど、利点が超アピールされていた気がします。さりげなく Camera2 API のプレビューでも使われています。

実際のところ、OpenGLBitmap を延々と生成して表示しているだけなのでメモリ消費が半端なく、生の OpenGL ES 2.0 が分かるならそちらを使った方が効率がよい上に、分からない人にも Unity などのゲームエンジンが普及したので、どの辺の層が使っているのか謎な感じです。

ともあれ、SurfaceView の強化版のような触れ込みで登場しましたが、両者は全く別物ということだけは言えます。

なぜ TextureView が必要とされたのか

Android 4.0 Graphics and Animations によれば、

Because a SurfaceView’s content does not live in the application’s window, it cannot be transformed (moved, scaled, rotated) efficiently.

SurfaceView の弱点はアプリケーションの Window に属していないので、効率的な変換が不可能だったということにあります。

しかし Android 7.0 でマルチウインドウ化するとともに、

A SurfaceView object's content position is now updated synchronously with the containing app content.

SurfaceView がアプリケーションのコンテンツと同期を取れる(※ただし Android 7.0 以上のみ)能力を持つに至り、もはやバッテリーを食うだけの TextureView は不要、みたいな感じなんでしょうか。

これに伴う混乱

SurfaceViewTextureView で検索するとこういう感じの情報が得られます。

  • Android 2.0 時代に書かれた「SurfaceView は高速にレンダリングできる View である」という極めて古い資料
  • Android 4.0 時代に書かれた「より新しい TextureView に乗り換えるべき」という期待に満ち溢れた古い資料
  • Android 5.0 時代に書かれた「TextureView はトラップなので使うべきではない」という怨嗟を感じるやや古い資料
  • Android 6.0 時代に書かれた「SurfaceView は低速なので使うべきではない」という妥当だけどタイトルが裏目に出ている資料
  • そして、Android 7.0 時代に書かれる「SurfaceView はバッテリ効率が良いので TextureView より推奨される」という資料

何を信じればいいんだ…。

個人的な結論

SurfaceViewTextureView も今となっては使うべきではなく、Canvas API で独自の描画をしたいならカスタム View を作ればいいと思います。

カスタム View では実現できない高速な描画が必要?

流行の最先端である Vulkan Graphics API を覚えるのがお勧めですよ!!!

ここ最近読んだ技術書籍感想文。

雑多に読んでます。

リンクは書籍の公式サイトです。

黒帯エンジニアが教えるプロの技術 Android開発の教科書

SBクリエイティブ:黒帯エンジニアが教えるプロの技術 Android開発の教科書 (ヤフー黒帯シリーズ)

幅広いトピックを扱っているのだけれど、それゆえにどこかで読んだ本の内容を簡略化しているだけの章もあったり、開発以外のトピックの割合が多かったり、Andorid 開発の高度な技術トピックを期待すると中途半端かもしれないという感想でした。

同時期により初心者向けと思われる「基本からしっかり身につくAndroidアプリ開発入門 Android Studio 2.x対応」という本も出版されていたので、こちらのトピックでよかったんじゃない?という内容もちらほら。

また、アプリのグロース関連の章については、Firebase の登場で大きく変わった部分が多く、タイミングの悪い感じです。

具体的には、たとえばクラッシュレポートは Firebase Crash Reporting、AB テストは Rule Types and Variables、アプリケーションのプロモーションのチャネルに Firebase Invites が追加され、GCM は FCM になりました。

これらは単に置き換わったのではなく、Firebase プラットフォーム上のサービス間のシナジーが本質で、例えば「バグの対象機種で、最近起動率の減ったユーザーをトピックに、バージョンが上がって改善したことを Push 通知を使ってフォローする」といった面白い使い方ができるのです。

C#実践開発手法~デザインパターンとSOLID原則によるアジャイルなコーディング

ec.nikkeibp.co.jp

Xamarin のために久々に C# やっていて、1年くらい積まれてた本をようやく消化したのですが、今まで読まなかったのを悔やむくらい、適応力の高いコードの書き方について解説している良書でした。

  • 近年に重要になった、「変化に強い」デザインパターンを使ったコードの書き方
  • デザインパターンを支える基礎である、重要なプログラミング原則群の解説
  • 架空のストーリー仕立てで、プロダクトマネージャと開発者がいかに協調し、実際的にアダプティブにコードを作っていくか

という構成になっています。ただし、翻訳は結構眠くなる気がします。

ダンC# 向けの CleanCode という感じの本です。

Javaプログラマーなら習得しておきたい Java SE 8 実践プログラミング

book.impress.co.jp

これからの Android 開発は、Kotlin か Java8 で頑張るかの二択になると思いますが、付け焼き刃の新言語を使うまでもなく Java8 で十分いける気がしてきました。

記述が冗長という欠点については、IntelliJ IDEA の超強力なサジェストがさくさく代筆してくれるので、あまり気にならないです。

この本は、

を読んだ人向けに、Java SE7 と SE8 との diff をざっくり理解するのには良い本です。翻訳者が同じなので。

ただ内容は非常にあっさりとしていて、それを補うためか章末問題が用意されています。この問題は一部が難解というか、この本の内容だけで解けるとは到底思えないものもあるので、かなり苦しむことになります。

しかも解答が載っていないのですが、この章末問題に挑戦している人は国内外にいっぱいいて、解法を GitHub などで共有していたりするので、自分が苦しんで得た解答を他人の解法と照らし合わせて、遥か高みにいるなーとか、またさらに他の人は別のアプローチで解いていて読んで唸らされたり、というのが本当に楽しいです。

そこまでやれば、Java8 実践レベルの知識を得たと自負していいはず。

Android Studio本格活用バイブル~効率的にコーディングするための使い方

gihyo.jp

Android Studio 対応」を謳う入門書は多々ありますが、この本が他の Android Studio 本と一線を画しているのは、Android 開発をやりたい人向けではなく、IntelliJ IDEA での効率的なコーディング方法を知りたい人向けに特化しているということです。

正直、この本のタイトルは詐欺だと思いますが、いい意味で騙されました。

Eclipse ADT から Android Studio へ移行したとき、Darcula テーマのモダンさから「新しいクールな IDE になった」と捉える向きがありました。

この本はそうではなく、IntelliJ IDEA も Eclipse と同じくらい歴史のある古い IDE とみなしています。長い歴史のある IDE はしがらみのためにショートカットに癖があったり、あるやり方をするのに複数の方法があったり、洗練されていない部分もあることを認めつつ、しなしながらその歴史が育んだ効率的なコーディング方法をいかに手に馴染ませるかということを滔々と解説しています。IntelliJ 愛してるなーという感じです。

反面として、レイアウトエディタの詳細な使い方とか、メモリリークの調査方法とかそういう Android 開発をする上で実際的に必要になる使い方については書籍版では触れていないです。Android Studio のコーディングの操作量を上げたいという人に向けた一点突破の本です。

SwiftではじめるUI設計&プログラミング 「操作性」と「デザイン性」を兼ね備えたアプリの開発手法

www.shoeisha.co.jp

この本は、Swift 1.X & iOS8 なので今から読むには微妙だと前置きします。

しかしながら、個人的には、AutoLayout や SizeClass に関する説明は割と分かりやすかった気がします。全編フルカラーで、UI カタログ的な章もありますので、iOS SDK にどういう UI コンポーネントがあるのかまだよく分かっていない人に向けていい本だと思いました。

評判の良いよくわかるAuto Layoutも買ったので読み比べる予定です。

スマートフォンの連絡帳の話。

純正の連絡帳で別に満足してるって人もいれば、オリジナルの連絡帳を入れてる人もいますし、そもそも連絡帳に何も登録されてない人もいるでしょう。

それはさておき、iOSAndroid の OS 標準の連絡帳はユーザー視点で見るか、開発者視点で見るかで貧弱とも言えるし、高性能とも言えて面白いです。

連絡帳の基本思想

iOS / Android に共通して言えることとして、実用的ではないです。グルーピング表示すらできません。

その理由は、OS 標準の連絡帳は、端末内の利用出来る情報を活用しつつ、様々なアプリへ連絡帳情報を提供するためのデータベースとなるよう、割り切った実装になっているからです。

連絡帳の元データは、多種多様です。

Android であれば Google アカウント、iOS であれば iCloud アカウントに紐付いていることが多いと思います。

その他にも SIM カードやソーシャルアカウントなど複数のデータソースを持つ場合があります。連絡帳はそれらの情報を収集し、統合した連絡先を表示しています。

例えば適当な数字ですが、Skype のフレンドが5000人いて、Facebook の友達が5000人いて、Google アカウントに5000人登録されていたとします。連絡帳はそれらのアカウント情報の断片から名寄せを行い、統合された7500人のデータを表示します。「自分」が3人に分裂したりすることは、きっとありません。

このような処理はリアルタイムではできません。このため、事前にデータベースに蓄積しています。高速に取得するために、インデックスを貼り、非同期で行われる更新をトリガーに、情報の紐付けを更新しています。これだけ考えるとものすごい高性能です。

そしてグルーピング機能が貧弱なのも説明できます。API 的には iOS でも Android でもグループを設定することはできるのです。ただしデータソース元がグルーピング機能を持っているとは限りませんし、また統合された連絡先をグルーピングすると、異なるデータソース間をまとめてしまう可能性があるので GUI としての提供は限定的なのです。

テーブルから理解する連絡帳

データは SQLite で保持されています。なので SQL の民であれば、ER 図を見れば余裕で理解できるはずです。

Android

いっぱいテーブルがあるんですけれど、だいたい下の3つがわかってれば問題ないという噂。

f:id:quesera2:20160622233507p:plain

contactテーブルに統合された連絡先データがあります。

統合人格は名寄せされた複数のraw_contactテーブルと関連付けられています。

実際の各データはdataテーブルに入っています。このdata1data15という汎用的で素敵なレコード名で察せられるかと思いますが、名前の場合、「data1に表示名、data7に名前のフリガナ」、電話番号だったら「data1に電話番号、data2に種別(携帯か固定電話か)」みたいな感じです。

連絡帳のContent Providerへ問い合わせをするときには、このテーブル構造を覚えておくと少しだけ便利です。ほとんどの場合、単体のテーブルではなく、JOINしたテーブルに対する問い合わせになります。SQL を意識すれば無駄を省くことができます。

以下、いくつかポイントです。

lookup

contactのプライマリキーは_id列ですが、これはただの Android の作法で、実際の一意キーはlookupです。これの使い方にも癖がありますけど、リファレンス読めば大丈夫。

sort_keysort_key_alt

日本のロケールで見たとき、連絡帳は「山田太郎」さんと「Jhon Doe」さんのどちらが上であるのが自然でしょうか?

単純な文字列のソートでは、数字、英語、ひらがな、漢字になります。sort_keyは読み仮名などを考慮した上で、それぞれの国のロケールに合わせたソート順で連絡帳データを並び替えるためのものです。連絡帳データは件数が予期できないので、複雑な条件でソートをするよりも事前にソート用の値を持っておいたほうが楽なわけですね。

sort_key_altロケールに依存しないソートをしたい場合に利用します。

name_lookupphone_lookup

名前や電話番号は表記ブレがおきます。080-3123-2931と書いたり、(080)31232931と書いたり。

名前や電話番号を正規化して保持しているルックアップテーブルが存在します。氏名や電話番号から検索する場合などは、contactテーブルから辿るよりも、こちらを使うほうが適切です。

iOS

iOS の連絡帳の構造はすごく単純です。外部キー制約も一切ないです。

f:id:quesera2:20160622233516p:plain

統合された連絡先情報を、ABPersonテーブルに保持しています。複数のデータを持つ場合(例えば電話番号が自宅と携帯と会社で3つあるなど)は、ABMultiValueでラベルと値を保持しています。

Androidraw_contactに相当するテーブルはなく、統合された結果だけを保持しています。

なので統合された情報が何に由来してきているのかを知る術があまりなさそうで、ABStoreから知ることができる情報も、LocalExchangeCardDAVかみたいな超ざっくりとした情報しか持っていません。

iOS の場合、AddressbookUI/ContactsUI フレームワークが用意されているため、あまり気にすることもないでしょう。

Addressbook フレームワークはほぼ C 言語な感じで、Objective-C からでも使いづらいのに、Swift から使うのはチャレンジャーな感じがありましたが、iOS9 から Contact フレームワークに置き換わって楽になりました。

FirstSortLastSort

この中身は姓名でソートするために事前に計算されたキーです。

A)D=みたいに文字を並び替えていっているみたいですね。FirstSortLanguageIndexLastSortLanguageIndexという列もあって、これを組み合わせてロケール対応しているのでしょうか。

iOS の場合、テーブルへの問い合わせはNSPredicateというブラックボックスを介するので、Android ほど SQL 感はありません。しかしユーザーコード上でソートするよりも、sortOrderを適切に渡した方が何かと無難だとは思います。

NSUnit と NSMeasurement についての話。

iOS10.0 / OS X 10.12 / tvOS 10.0 / watchOS 3.0 で追加されたクラスです。(これをひとまとめにする呼び方がほしい)

NSUnit は単位を表すクラスです。単位と double の値を組み合わせて、NSMeasurement、測定値を記述することができます。

NSMeasurement は加算・減算のメソッドがあるほか、乗算・除算の演算子オーバーロードがあるので、例えば時間の計算を以下の記述で行うことができます。

// Swift3 で書く場合には、`NS` が drop されるので、以下はそのように記述します
let sec = Measurement(value: 1.0, unit: UnitDuration.seconds)
let hour = Measurement(value: 1.0, unit: UnitDuration.hours)

let time = 2 * hour + 3 * sec;

この結果は、7203 sec になります。2時間と3秒の合計なので、7203秒であってますね。

これを Objective-C で書こうとすると、

NSMeasurement<NSUnitDuration *> *hour = [[NSMeasurement alloc] initWithDoubleValue:1.0 unit:NSUnitDuration.hours];
NSMeasurement<NSUnitDuration *> *minute = [[NSMeasurement alloc] initWithDoubleValue:1.0 unit:NSUnitDuration.minutes];
        
NSMeasurement<NSUnitDuration *> *computed = [hour measurementByAddingMeasurement:minute];

こんな記述になる上に、乗算のメソッドがなくて詰みます。

Xcode8 beta1 において、Objective-C 側では未実装で、nil が返ってきていました。Swift 側が先行して実装されており、Objective-C で書かれた Foundation のエクスポートではない?という推察ができます。

現時点でも NSUnit のサブクラスである NSDimension にはかなりの数が用意されていて、角度、面積、速度、質量濃度、分散、電気量、電圧、電流、電気抵抗、熱量、周波数、燃費、光量、距離、重量、電力、圧力、音量、温度があるっぽいです。

更にそれぞれの NSDimension は距離であれば「メートル」「ヤード」「ポンド」みたいな単位を持っています。単位に値を紐付けたものが、NSMeasurement ですので、上に示したコードのように「時間」と「秒」ということなるディメンションを持つ測定値で四則演算や比較を行ったり、NSUnitConverter で「ジュール」から「カロリー」に変換することができるというコンセプトなのだと思います。

さらに、NSMeasurementFormatter によって、ローカライズされた文字列を表示できるのです。

以下、初期の Xcode8 beta1 におけるバグについて書いてありましたが、現在は修正されているので削除。

Javaと偽Javaの話。

qiita.com

これの話。ブコメに書こうとしたら4000字は入らなかった。

Microsoft Java VM

かつての WIndows には MS 製の Java VM が搭載されていました。

古代の Java は「Write once, run anywhere」を掲げていた通り、クライアントサイドで Java アプレットとして利用されるのが主流でした(サーバーサイドで動くようになって、真価を発揮した感じがあります)。

しかし Java VM の仕様は、パフォーマンスについての記述は曖昧になっており、OS ごとの実装の違いによって、実行速度に顕著な差がありました。

Windows の Sun 純正の Java VM は性能が悪かったため、MS は独自の Java VM を開発し、Internet Explorer にバンドルしました。調子に乗った MS は Windows GUI ライブラリを利用できる、Sun Java VM と互換性のない Java 統合開発環境 Visual J++ をリリースしたりしていました。

これが 1997年に「Java の互換性を破壊した」として訴訟に発展、2004年に和解に至りましたが、現在 MS の Java VM は頒布されなくなりました。

Visual Studio 2015 で Android がサポートされ、Java モドキを再び書けるようになったとき、J++ の面影を思い出した人は少なくないはずです。J# は知らんです。

Apache Harmony

Apache 財団が開発を進めていた、オープンソースライセンスフリーJava 実装でした。

「自由な Java」を求めた IBMIntelGNU Classpath に関わってきたフリーソフトウェア開発者たちが一同に介して開発を進めた夢のプロジェクトでした。

プロジェクトの開始以来、多くの企業や団体がJava SEのオープンソース実装に対する賛同を示し、協力を申し出てきた。例えばIBMがコア・クラスやクラスライブラリ/VMのインタフェース、Eclipseプラグイン等の実装への協力を申し出ているほか、IBM developerworksは評価ライセンスでのJVMの提供に同意している。また、Intelはセキュリティや認証系、正規表現RMIなどの実装に協力すると表明している。オープンソース団体ではクラスライブラリの実装を行っているGNU Classpathプロジェクトが、Apache Harmonyとの提携を開始している。その他多くの協力を得た結果、現在はプロジェクトの大部分において実際に動作するコードが集まっているという。

JavaOne 2006 - オープンソースのJava実装「Apache Harmony」に期待

JavaOne というのは Sun が主催していた Java の祭典です。Sun のお膝元でプロジェクトの進捗が公表されていた Apache Harmony ですが、悲劇的な末路を辿ります。

Sun が JSPA(Java Specification Participation Agreement)の供与を拒否したため、Java テクノロジ互換キット (Technology Compatibility Kit) と呼ばれる「Java 互換を名乗る資格を得るためのテスト」を受けられませんでした。

Apache 財団は Sun に公開書簡を送りましたが、Sun からの返答はありませんでした。

やがて、Sun 自ら Javaオープンソース化する OpenJDK プロジェクトを始めると、それまで Apache Harmony に関わってきた開発者たちは撤退し、OpenJDK へ移行しはじめました。

IBMApple(当時の AppleCocoa Java Bridge など Java テクノロジに熱心だった)が OpenJDK への参加を表明したことで、Apache Harmony プロジェクトは事実上終結しました。

Android

Apache Harmony は、「Java 互換」を名乗ることができない偽 Java として天命を迎えるはずのプロジェクトでした。

その成果を利用したのが Google です。Android の当初の Java 標準ライブラリは Apache Harmony が採用されており、このため「本物の Java」と挙動が違いました。貧弱な端末で動作させるために機能を制約した Dalvik VM 上で動作していながら、JIT もなく性能面で大きく劣っていたりしました。

歴史の流れを見ると、Sun を買収した Oracle が「Java の互換性を破壊した」として Google と訴訟に至るのは疑問の方が強いです。なぜオープンソース指向へ変わりつつあった Sun の意思が失われたのか、また Google が MS の取った行動をなぞるかのごとくリスクを犯したのか。

APIフェアユースが認められた今回の裁判結果が一つの契機となってくれることを願うばかりです。

Android N 現在の Java 標準ライブラリは Apache Harmony を捨て、Open JDK を採用しています。Dalvik VM は ART ランタイム(Java のクラスファイルを、Dalvik VM 向けに変換して APK 化した後、更に端末上で AOT コンパイラが走り、ネイティブなコードに変換している)に置き換えられました。

その他の Java

Oracle Java VM は唯一絶対な Java VM ではありません。

たとえば、IBM の WebSphere で利用されている IBM J9 VM のように、公式にライセンス供与された Java VM が存在しています。

ガラケー時代に流行ったアプリは Java ME で書かれており、Sun とのライセンス契約が締結されていました。

これらの中には、MIDP(Mobile Information Device Profile)に従っていた EZアプリや S!アプリも存在していましたが、当時主流だった iアプリは DoJa プロファイルという互換性のない Java で動作していました。ただライセンス料金を徴収されていたので非互換の偽 Java ですが、正式なサブセットという扱いでした。

歴史との diff

Android 登場以前までは、業界関係者が皆協力しており、Oracle といえども JCP に則って仕様策定を進めていました。

MS のような Java の破壊者は Android 以前にもいました。

仕様を策定する際には、RI (Reference Implementation) (リファレンス実装) と TCK (Technology Compatibility Kit) (テスト群) も同時に用意します。これは、策定した仕様が現実的に実装可能であるかどうかを確認するため、および、第三者が仕様に則って実装をおこなったときにその実装の互換性を確認できるようにするためです。

API デザインの互換性を担保する上で、TCK を公開することの重要性は、「Practical API Design: Confessions of a Java Framework Architect(API デザインの極意)」などでも説かれていますが、Oracle は自社のビジネスの都合で TCK の利用に制約を掛け、「正当な Java」として認定する対象を選別しています。

それが Oracle のビジネスモデルだと思うので、しょうがないですね。

一方 Oracle は、JCP に則り、エキスパートを集めて Java API の仕様策定作業をしています。時間はかかりますが、Java の新バージョンで追加される言語仕様や API の設計が洗練されているのは、そういう理由です。

かつて OpenJDK を支えていた AppleIBM も今は Swift を盛り上げる方向にいっていますし、Java の進化が遅くなったのは仕様策定が綿密というよりも、業界の巨人の Java 離れが進んだ結果なんじゃないかなーと個人的には思っているのですが、どうなんでしょう?

JCP についてはまったく詳しくないので、的外れなのかも。

Oracle 提供の JDK / JRE に比べ、Android の品質はどうでしょうか? こちらは、平気でゴミクズのような API が公式 API として追加されます。

AndroidAPI の品質が悪いのは関係ないだろ!!!!

往年の HttpURLConnection とか SecureRandom とか酷かったですよね。Fragment も酷い(Fragment in Fragment の闇は深い)。

TCK のような互換性維持のためのテストセットもありませんから、String.indexOf(String,int) という基本 API に実装不具合があっても、それを事前に検出できずにリリースが行われることがあります。

現在の標準ライブラリの実装は OpenJDK ですのでご安心ください。N 以降だけですが!

Android 新バージョンの発表があると思うから、Google 主催の次のイベントが楽しみ!」と思っている時点で、Google に振り回されていることに気付くべきです。

今では Google I/OWWDC が盛り上がっていますが、かつては Java の祭典である JavaOne が活発でした。

ところで、あまり知られていない(?)ですが、JavaOneWWDC は日本でも開催されていました。(WWDC は世界開発者会議の略称なので、日本語版は JDC ですが)

最後に開催された JDC の大きなトピックは、「Cocoa on Windowsライセンスフリーで提供」(実現しなかった)だったので、いかにバブルな時代だったかというのが伺えるでしょう。

つまるところ、Sun や Apple に振り回されていたのが、GoogleApple に振り回されるようになっただけですね。

Anyパターンについて考えてみる

Swiftの標準ライブラリだと付属型を持ったプロトコルを変数に格納するため、慣例的にAnyなんとかってクラスを用意してる」というところまでが話の前提です。

Anyクラス実装者の責務

qiita.com

例によって、Pokemonプロトコルで考えてみます。

ポケモンではすべての技(move)を使いきった場合、攻撃を選択しても「わるあがき」しかできなくなります。これはすべてのポケモン共通の挙動なので、Protocol Extensionで実装すると楽ですね。

protocol Pokemon {
    associatedtype PokemonType
    func attack(move:PokemonType)
    func struggle()
}

extension Pokemon {
    func struggle() {
        // 相手にダメージを与えて自分のHPを1/4削る
    }
}

「わるあがき」は技タイプなしの特殊攻撃なので(ゴーストタイプにも当たる)、PokemonTypeには依存しないものとして実装されるとします。

残念ながら、現世代までのポケモンで「わるあがき」で特殊な挙動をする個体はいないみたいですが、将来的に特殊な実装をされる可能性を考慮すると、適切に実装を退避させる必要があります。

class AnyPokemon <PokemonType>: Pokemon {
    private let _attack: ((PokemonType) -> Void)
    private let _struggle: (() -> Void)
    
    required init<U:Pokemon where U.PokemonType == PokemonType>(_ pokemon: U) {
        _attack = pokemon.attack
        _struggle = pokemon.struggle
    }
    
    func attack(type:PokemonType) {
        return _attack(type)
    }
    
    // 省略した場合はデフォルト実装が呼ばれてしまう!
    func struggle() {
        return _struggle()
    }
}

省略するとデフォルト実装になってしまう、というのがポイントです。

Anyタイプを作る開発者は、Protocol Extensionによるデフォルト実装も含めた、そのプロトコルの全ての処理を知る必要がある のです。

AnySequenceを実現している、_SequenceBoxの場合どうなってるのかというと、必ずしも全ての処理が委譲されるわけではないらしく、たとえばdropFirst(_ n: Int)は委譲されるのだけれど、dropFirst()(引数なし版)は委譲されません。

dropFirst()を変な処理でオーバーライドすると壊れます。やる人いないと思いますけど。

Protocol ExtensionでAnyパターンを壊す

SequenceTypeにProtocol Extensionでメソッドを足してみます。

extension SequenceType {
    func hogehoge () {
        print("do")
    }
}

let sequence = AnySequence(["a", "b"])
sequence.hogehoge() // do

AnySequenceSequenceTypeに準拠しているので、Protocol Extensionの恩恵を受けます。ここまでは期待通りです。

ただし、独自のSequenceTypeを作って、Protocol Extensionで追加したものと同名のメソッドを実装すると破綻します。

class MySequence : SequenceType {
    private var values: [String] = ["a", "b"]
    
    func generate() -> IndexingGenerator<[String]>{
        return values.generate()
    }
    
    func hogehoge() {
        print("inherit")
    }
}

let original = MySequence()
let boxed = AnySequence(original)
original.hogehoge() // inherit
boxed.hogehoge() // do
original.dropFirst().hogehoge() // do

これは_SequenceBoxの実装を考えれば自明ですね。dropFirst()でもデフォルト実装が呼び出されてしまうのは、dropFirst()Anyでラップする実装だからですね。

// 何も考えずに、Github上で master branch を見ていたので、
// Swift 2.2じゃなくて3.0のコードですが、大差ないので気にしない
@warn_unused_result
public func dropFirst() -> SubSequence { return dropFirst(1) }

@warn_unused_result
public func dropFirst(_ n: Int) -> AnySequence<Iterator.Element> {
  precondition(n >= 0, "Can't drop a negative number of elements from a sequence")
  if n == 0 { return AnySequence(self) }
  return AnySequence(_DropFirstSequence(_iterator: makeIterator(), limit: n))
}

結論

CollectionTypeなんかの組み込み型に対してProtocol Extensionする場合、Anyで型消去されたときに、Protocol Extensionのデフォルト実装しか呼び出されない点について注意が必要?

これは言語仕様的に防御した方がいいような気がする…何のメリットもないし。