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なるようになるかも

力は多くの場合、その人の思いを超えない。

「よくわかる AutoLayout」読んだ。

よくわかるAuto Layout iOSレスポンシブデザインをマスター - リックテレコム書籍情報

前提

わたしはコード、VFL、Storyboard で制約を書きます。ライブラリは特に使いません。

なんで全部覚えたの?って疑問に思うかもしれません。わたしも最初はいずれかひとつだけ身に付ければいいと思っていましたが、いまはそれぞれが相互補完する関係にあると思っています。

  • コードによる制約は、初見では複雑ですが、慣れればそうでもないです。付与できる制約に制限がないのがメリットです。
  • View の位置関係を示す場合、VFL は非常に簡潔に記述できます。覚えておけばデバッグ時にも便利です。ただこれ一本だとできないこともあります。
  • Storyboard/InterfaceBuilder による制約の付与は、プレビュー機能など利点が多いです。ただし込み入ったレイアウトを実現するいくつかのハックを知っている必要があります。
  • 暗黙の制約(translatesAutoresizingMaskIntoConstraintstrue のままにする)も割と便利です。ドキュメントには autoresizing mask で指定した振る舞いを duplicate するとあるのですが、これの意味は未だに分からんです。

適材適所でうまく組み合わせるのが重要だと認識しています。

UPDATE: 暗黙の制約の仕様は Xcode7 と Xcode8 で別物になるらしい。いままで autoresizing mask ガン無視だったのが、ちゃんと反映されるようになるとか。まじかよ。

本の概要

iOS 開発を初期からやっている人はきっと必ず本棚にあるであろう、レジェンダリィな UIKit 本の著者が技術監修をしている、AutoLayout 攻略本です。

公式リファレンスもあります

developer.apple.com

そもそも AutoLayout 攻略本が必要なのか?公式ガイドで十分でないか?という疑問があると思います。

Apple の公式には日本語訳されたガイドがあるのです。しかし、「固有の寸法」「不定なレイアウト」「収縮性/膨張性の優先度」など、個人的にはピンと来ない感じの訳なので、初学者にはお勧めできません。

少し前に読んだ「SwiftではじめるUI設計&プログラミング」は、この辺の言い回しを、日本語として分かりやすく表現する苦労が感じられて良かったです(UI 設計の本というより、初級者向けレイアウトの作り方の本なのでそういうタイトルの方がよかったのでは?というのと、Swift1.X、iOS8 の本でなければ…という感じ)。

読書感想文

いわゆる、個人の感想ってやつです。

よかった点

硬派な内容

原色強めの表紙やタイトルから、なんとなく初級者向けなイメージを受けましたが、複雑なレイアウトを実現するためのパターン、実践的なハックも網羅されています。

ハマりがちな Self-Sizing Cells や UIScrollView への制約付与の仕方、さらに無限スクロールしたい UIScrollView への制約の付与の仕方も丁寧な解説があってとても参考になりました。

基本的なビューのデバッグ技法から、AutoLayout 固有の制約のデバッグ方法まで一通り書いてあるので、とりあえずこの本が片手にあればなんとかなりそうな気がします。

AutoLayout のレンダリングの裏側で起きていることを詳述している

ここはまだ自分も理解が追いついていない部分なのでまた読み返しますが…。

AutoLayout において viewWillLayoutSubviews:viewDidLayoutSubviews: は何なのか、とかそういう部分まで掘り下げて書いてある本は和書ではこれしかないと思います。

iOS9 の最新の知識を得られる

まだ iOS8 を切れなくてつらぽよですが、

  • UIStackView
  • UILayoutAnchor

について丁寧な解説があります。iOS10 ではこの辺に大きな仕様変更はなかったので、とりあえずしばらく使える知識なはずです。

よくなかった点

よくわからなくなくない?

基礎的な部分から始まりはしますが、ある程度 AutoLayout で苦しんだユーザーを想定しているような感じです。そういう人が開眼するには間違いなく良書だと言い切れます。

一方で、これから Swift を初めて、ちょっとした iOS アプリを作ってみよう…という人には敷居が高すぎる本だとも思います。

3章から UIWindowmakeKeyWindow()、ルートビューコントローラーみたいなトピックが入ってきますが、iOS7 から始めた人はたぶんこの辺のおまじないの話で辛くなってしまうような…。

トレイトコレクションを理解する上で、UIWindowUIScreenUIViewController がどういう関係にあるのか、という知識は必須なので、AutoLayout 自体がむずいってのが根本的な原因な気がしますけれど。

Width/Height Attribute に対する誤解

21ページにあるこの記述。

・Width、Height
Width、Height はそれぞれ、インターフェースオブジェクトの幅と高さを示します。この Attribute を用いる場合、この制約は1つのオブジェクトで完結するため、制約の SecondItem は nil になります。

これは根幹的な間違いだと思うのですけれど、わたしの誤読?

EqualWidth や EqualHeight の制約をコードで書くには SecondItem に同じ幅・高さにしたい View を指定します。

コードで作る制約は VFL と違って Multiplier を指定できるので、親 View とのパーセンテージでサイズ指定することをできます。個人的には、Adaptive なレイアウトを作るうえでは欠かせない知識だと思っています。

サイズクラスの話が本格的に出てくるのが遅め

レスポンシブデザインを語る上で、AutoLayout と SizeClass は不可分だと思うのですけれど、「サイズクラスとトレイトコレクション」は一番最後の章になっています。

名前そのものは、2章でも「Adaptive なレイアウトを構築する上で重要だ」として挙げられてはいます。

ですので、この本は AutoLayout にフォーカス絞り、そこから SizeClass まで話を膨らませないという組み立てにしたのかもしれません。